芸の階段

宇多田ヒカルさんの言うように

最初から誰も完璧になんか

出来ないです。

そんなの当たり前なの。

だから僕らはプロセスの中に

あると思うんです。

いつも途中経過。

いつか上手になる為の階段を

一歩ずつ上がっている。

これが僕はごく普通の芸事の

取り組み方だと思うんですね。


でも、

そうじゃない人もいますよね。

ただ高いギターをポロポロやって

真面目に練習するわけでもない

ような人。

プロでも

ただの営業マンになっちゃう人。

それはプロセスの中に居ないし

途中経過の中に居ないし

階段を登ろうとしない人でしょ?

そうなっちゃうと、

一見同じ芸事をやってるように

見えるけど、

中身は全然違うじゃないですか。

それだと実際には

芸術に興味関心がないって

事になっちゃう。

プロアマ関係なく、

一歩でも良いからその階段を

上がってくれなきゃ

話す事がないんですよね。

だってそれが

芸術に向き合うって事じゃん。


例えば、

ギターで色んな曲を

ただ弾いてもダメなんですよね。

一曲弾くのさえ難しいんだから。

もっと言えば一音弾く事さえ

難しいんです。

でも、一音ずつ丁寧に磨いて

いけば一音の価値が

変わってくるんですよ。

そこにこそ美や芸術があると

僕は思うんです。

そう言う事を気にしないで

何曲ただ弾いても

結局人は感動しないし

聴かないですよ。


大体分かるでしょ?

一つ一つにこだわって

丁寧に作ったギターと

適当に大量生産された

ギターとどっちが価値があるの?

雑に作られた100本のギターと

丁寧に作られた1本のギター

どっちかあげるよ、

と言われたらどっちが良い?

実際に良いギターなんて

年間何本も作れないですよ。

手間と時間がかかるから。

今の時代は

ファストファッション

とか言って

安い大量生産ので良いだろう

みたいになってるけど、

芸術は

それと対極にある気がします。


踊りもそう。

生徒さんが発表会で

一拍ズレたりテンポが走ったり

コントラがずれてたとしても

次から違う曲をやる

じゃないですか?

教室と言う性格上

仕方ない部分もあるけど、

せっかくビデオ撮影して

客観的なデータや資料が

出来たんだから、

例えばもう一年それで

研究して出来なかった所に

こだわって改良したりして

質を上げたら

更に価値のあるものになる気が

するんですけどね。


https://youtu.be/JOS8UQt5FKQ?si=5RfAAVajOXQeKUIR


ダ・ヴィンチの絵が同世代の

画家に比べて圧倒的に少ない

らしいんですね。

他の画家は何枚も描いて

売ってお金を

もらってたらしいんだけど、

ダ・ヴィンチは

一枚の絵にやたら時間が

かかるみたいなんですね。

それは、

塗っては乾かして、

塗っては乾かしてを

何度もやってたから

らしいんです。

でも、だからこそ透明感の

ある肌を描けたらしいです。


多分、良いものは

時間がかかるんですよ。

だから、

焦らず地道にコツコツ

やるしかないんですよね。

ファストファッションは

要らないから本当に

質の良いものを

求めないといけないと

思うんです。

それが芸術じゃない?


だから

純粋な心の持ち主じゃないと

ダメなんですよ。

商売っ気があったり

邪念があるとダメなの。

だって嘘や誤魔化しが

通用する代物じゃないから。

そんなの全部

自分に跳ね返ってきちゃうもん。

自問自答の世界だし

芸は自分を写す鏡ですからね。