軽い音、重い音

先生から教わった事の中で、

足音やギターの音には

軽いのと重いのがあると

言うのがありました。

ボクシングのパンチに

重いのと軽いのがある感じ。


例えば足音を

三秒間に6発打つとして、

普通は遅れるのが怖いから

セーフティに打つんですね。

そうすると

早めに安全な時間に

打ち終わるんです。

そこであっさり打たないのが

重いって事で、

ギリギリまで粘って打つんです。

そうすると

安全に早めに打ってる人より

空間が広がって

ハッキリ明瞭に聞こえるのです。

特に大きな舞台に

なればなるほど

ハッキリ明瞭に打たないと

人に伝わらないのです。


例えば、劇団四季を見ると

セリフが聞き取りやすいように

不自然なくらいハッキリ喋ろうと

しますよね。

あんな事と似てるかも知れない。


一見パッと見ても分からない

細かい地味な事なんだけど、

「人に伝える為」って事で

先生はたった一音で

そこまでこだわります。

練習するのも大変だし

しかも一曲通すとなると

何音あるんだ?と言う話ですよ。

でもその一発一発にこだわるんです。


そう言う姿を見て育ってるので

ちゃんとやらないショーなんて

論外です。

それで良いなら先生の努力は

何なんだ?って思うもん。

逆に、

そう言うこだわりや

取り組み方を知らずに

来てしまった人は

可哀想だとも思います。

知るのって面白いし

奥が深くて飽きないです。


ここからは僕の感覚だけど、

例えば重い音だなと思う人で、

分かりやすい

ミュージシャンだと、

僕はチャーリー・パーカーを

聴いた時に

たっぷりとしたテンポ感で

凄いリズム感だな、

と思いましたね。

フレーズがまるで大蛇が

うねるような感じ。


クラシックピアノも

誰とかまでは

分からないけど、

なんだかスケールの大きい

存在感のある音だな、と

思ったら、

多分空間が広いんでしょうね。


一見同じ曲を弾いてるのに

印象が全然違ったりするのは、

感じてる事が

それぞれ違うからですよね。

そこがまた

面白いじゃないですか。