ほろ苦さ

最近、ギターの音で

分かってきた事があります。


僕はずっと

雑味がなく明瞭でクリア

透明感のある綺麗な音が

良い音だと思ってきました。

でも最近、

違うタイプの良い音も

ある事に気がつきました。

それは「ほろ苦さ」なのです。


「渋さ」とはちょっと違う。

「枯れた味わい」でもない。

「仄暗さ」は少し近いかも

知れません。

「ほろ苦さ」が分かりやすくて

しっくり来ます。

「甘さ」がないわけではない。

その甘さも今までは

「固めの柿のほのかな甘さ」

みたいなものを

良い甘さの音だと思って

いたんですが、

もっと甘くて

それでいてほろ苦い、

それが相まってなんとも美しい、

そんな感じの音なのです。


今までは僕はただ愚直に

弾いてきたのですが、

ただの真正直じゃなくて

またそれとは

違う方向の音なのです。

そう言う感覚では

ギターを弾いてなかったけど、

この新たに発見した感覚で弾けば

また違う曲が

作れるかも知れません。

今まで聴いてきた音楽も

違う角度から聴ける感じが

します。


若さと老いとか、

そう言う事ともまた違うんです。

ただ単純に

最初から気がつかなかっただけ。

僕が気がつくのには

時間が必要だったのかも

知れないし、

気がつくに至った時間が

成熟とも言えるのかも

知れません。


とにかく僕は

「ほろ苦さ」

を発見したのです。