ブラックギタリスト

古いギターを
一本下取りに出して
新しいのを一本
買いたいんですよね。
良いギター
既に一本持ってますが、
それは舞台用。

生音の現場で弾くのに
適したギターが必要なのです。
僕の生音の仕事では
弾き方がかなりハードです。
特に今年からは
僕の奏法が変わり、
去年の倍くらいのエネルギーで
弾いてるので苛烈な労働です。
「ギターって、
こう言う奏法に耐えられる事を
想定して作られてるのかな?」
「耐震は大丈夫なのかな?」
みたいな弾き方で、
ギターには負担がかかります。
だからあまり
良いギターを弾く気にはなれない。
明日は一本リペアに入院させるし、
今は丈夫で元気なギターが必要です。

店にあるような
高い年代物のギターは
古き良き枯れた味わいの
渋い音色です。
つまりお婆さんギターなんですが、
僕がそれをガンガン弾くと
「イテテ、
もう年なんじゃよ、
少し丁寧に、
朗々と弾いとくれ。」

百万円くらいの高級なギターを
僕が弾くと
「え?何その弾き方?
傷つくでしょ、
もっとお上品に弾けないの?」

イワオ
「、、あのさ、
君たちさっきから文句が多いけど、
君たちを愛でる為に
弾いてるわけじゃないの。
仕事してんだよ、こっちは!

どんな良い音だって
聞こえなきゃ意味ないだろ、
ちょっと強く弾いたくらいで
文句を言ったり
簡単にへたばるんじゃないよ!

僕が欲しいのはね、
雷のようなソリッドな迫力と
その中でも消されない
明瞭なメロディ。
あと文句を言わないで
元気にしっかり
仕事してくれる事!
上品さも渋さも求めないから、
しっかり仕事してくださいよ!
しかも、
相当リーズナブルに、、」

すると高いギター達は
ひそひそ話しだします。
「あいつ、、
もしかして
ブラックなんじゃないの?
悪名名高い
ブラックギタリスト
なんじゃないの?
安い金で
私達に身売りさせて
重労働させて
こき使おうとしてるんじゃない?
金も出さないくせに
図々しい奴ねー。
あんな奴に弾かれるのは
やめましょう!」
と言いながら去っていきます。
まあ、あんな奴らは
こっちから願い下げですよ。

だから結論としては、
音が良くて
とにかく丈夫で
歯切れが良くて
良く鳴る
かなりリーズナブルなギター!

、、やっぱりブラックですね。